消化不良と吸収不良

消化不良と吸収不良は自閉症児に共通して最も多く見られる胃腸障害です。消化不良は腸管から栄養素がちゃんと摂取されない吸収不良を引き起こし、その結果栄養不良となります。最高の食事をしていてもその食べ物がちゃんと消化されなければ栄養不良になります。消化不良は普通胃酸や膵臓の酵素の様な消化液の欠乏が原因だといわれています。また消化機能に問題無く食物がきちんと消化されていても栄養素が腸管から血流に吸収されていなければやはり栄養不良になります。このような吸収不良の原因はおそらく腸壁の損傷又は炎症によるものだと考えられます。

胃酸や膵臓の酵素等の消化分泌液の欠乏は多くの自閉症児の抱える問題に深く関わっています.例えば膵液はO−157菌や赤痢菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、緑膿菌等の腸内細菌(有機体生物)に対する抗菌性が高く、特に膵臓の分泌液はカンジダ菌に対する静真菌作用があります。だからこれが不足すると腸管は病原菌の過剰繁殖が起り易く、又、感染し易くなるのです.

同じ様に塩酸(Hcl,胃酸)も抗菌作用があり、不足すると腸内感染し易くなり、胃の中のカンジダ菌の過剰繁殖が起り易くなります。

吸収不良は下痢、ガス、腹痛等の胃腸障害だけでなく体全体に色々な問題を引き起こします。栄養素の一つだけが欠乏しても病につながる深刻な影響を及ぼすのです。

この一つの例として亜鉛の欠乏があります。亜鉛欠乏症は血漿中の亜鉛濃度で測定するのですが腸の炎症によりよく起るものです。亜鉛が不足すると正常の細胞の免疫力が弱まり、病原菌やウイルスに感染し易くなります。この様な腸内感染によって下痢になったり、更に一層の栄養吸収不良を促して栄養失調を起こすのです。

亜鉛は体内の重金属を一掃する作用のあるメタロチオネン(metallothionein)という酵素の合成を誘導する重要な役割を担っています。だから亜鉛が欠乏すると重金属や毒性遊離物質の害を受け易くなります。また亜鉛は免疫システムにとって重要な栄養素なのです。亜鉛を栄養補給すると風邪の回復が早まり、風邪ウイルスのラインウイルス(rhinovirus)による気道の炎症を抑えます。また、発育期に亜鉛が欠乏すると学習、記憶や注意力の発達に悪影響を及ぼし、動作が緩慢になったり, 反応が遅くなるという興味深い自閉症児の研究結果が知られています。

亜鉛は消化不良や吸収不良によって欠乏するので、マルチビタミン剤やミネラル製剤で栄養補給すると共にその原因となる消化のアンバランスを治すことが非常に重要なのです。


[徴候と症状]
腹痛、消化不良(食後のゲップ、下腹部の膨張、逆流又は不快感)
ガスの過剰発生、悪臭のおなら 
下痢と便秘又は下痢と便秘の繰り返し
便の色の異常(黄色やオレンジ色又は青白い便)
便の異常な形状(水っぽい便や泡状の便)  
怪我をし易すくなる
消化されていない食物や粘液の混じっている悪臭のある便
肛門部の激痛とかゆみ 
乾燥肌、
もろい髪の毛、手の爪の縦線
うつ状態や集中力欠如等の精神障害
体重の減少又は太れない


[考えられる原因] (上記で説明済みのもの以外)
1. 消化不良の原因
重炭酸塩bicarbonateやセクレチンSevretin,コレシストキニン、cholecystokinin(CCK)、胆汁等消化に必要な分泌液の欠乏
胃酸を抑える抗酸化剤の過度の服用
膵臓褒胞性線維症cysticfibrosisや癌等の膵臓病の病歴

2. 吸収不良の原因:腹腔病(グルテン不耐性疾患), 慢性の下痢
糖分の摂取が多く、繊維の摂取が少ない偏った食事
ある種の製剤


[診断方法]
1. 便の総合消化分析 Comprehensive Digestive Stool Analysis (CDSA)
体の消化吸収能力と膵臓の酵素の状態を調べ、腸管内に異常な微生物がいるかどうかを確認する手法。

2. 有機酸試験
Organic Acid Test
腸内の異常生命体の状態を診断する検査でCDSAの補助試験として有効。

3. グルテン抗体試験/対乳糖ブレス検査
 Gluten Antibody Studioes/Lactose Breath Test
吸収不良の場合、完全にグルテンやカゼインを排除していなければ腹腔病や乳糖不耐性の可能性は無いとみるべきである。

4. 食品アレルギー検査
腸壁の爛れや炎症が下痢や吸収不良を起こすので食品アレルギーの可能性を
探ることが肝要。

5. 腸内透過性試験
吸収効率と消化、吸収に影響を及ぼす腸壁漏れ症候の有無をチェック。

6. 栄養プロフィール試験
ビタミン、ミネラル、アミノ酸や必須脂肪酸等欠乏が無いかを診断。

7. 診断用画像処理
内視鏡又は結腸鏡検査により胃腸粘膜を視て腸の炎症状況を画像で診るの必
要.腸管の生体組織検査との併用も有用。

8. 胃酸分析
栄養治療志向の医師は胃酸不足が無いかどうかを診るハイデルブルグテス
ト(Heidelberg Test)という検査を勧める場合がある.今迄は子供でこの検査
を行うのは難しかったが新技術も出て来ているので医師と相談する価値有り


[治療方針/方法]
1. 原因の確定と除去
抗酸化剤は医師と相談の上慎重に服用すること。
食事はグルテンやカゼイン、アレルギー食品を一切排除。
糖分の摂取を減らし、栄養価の高い食べ物(果物、野菜、タンパク質源、大豆や豆類、無漂泊の穀物、必須脂肪酸等)の摂取を増やすこと。

2. 不足している消化分泌液の補給
殆どのケースで、消化酵素補給への反応は非常に好い。
セクレチン治療,(Secretin):自閉症児の消化機能だけでなく、行動や認識機能もかなり改善されるとの結果が出ている。
ベタネコール(Bethanechol):Dr. Mary Megson博士が開拓した医薬品を使って消化プロセスを刺激する治療手法。
ブテインHcl (Betaine Hcl): 低塩酸症(胃酸欠乏症)の場合は医師の指示の下でブテインHcl(塩酸)による栄養補給も必要

3. 腸管の治癒と修復:
医薬品と適切なサプリメントを使用して腸内の細菌状態を整え、腸管を癒す栄養素を含むサプリメントで栄養補給し、腸内の免疫システムを支える.

4. 支援対策:
マルチビタミン剤やミネラルのサプリメントで栄養を補充。

●ここに書かれているガイドラインはあくまでも推奨出来る治療の選択肢であり、症状やその重さの度合いも各個人によって異なることから誰にでも推奨出来る治療対策ではありません。各個人の治療方法については必ず医師と相談して決めてください。
●個々の治療での基本的な処置が他の異なった症状の時のものと重複するものがあります。
●概して服用量についての指示は当社製品のサプリについてだけのものです。他社製品についてはそのメーカーのラベル上の指示に従って下さい。


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